国際会議NICOGRAPH Internationalに参加をしたインターンの中村優菜さんより、学会レポートが届きました!
博士課程への進学を目指しながらインターンとして研鑽を積んでいる中村さん。初めての国際学会はどんな様子だったのでしょうか。
【中村さんの略歴】
茨城大学を卒業後、英国に渡りImperial College Londonで修士号を取得。茨城大学在籍中に茨城大学成績優秀学生表彰、日本設計工学会武藤栄次賞優秀学生賞を受賞。最近、ご当地ビールの王冠集めを始めた。
― 自己紹介をお願いします。
プロメテック・ソフトウェアでは、CG研究機関のプロメテックCGリサーチと品質保証部に所属し、博士課程への進学を目指しながらインターンをしています。
CGリサーチでは、西田友是先生がJavaScriptで開発した衝突検出のコードをPythonに書き換え、Blender上で実装する作業を行っています。品質保証部では、Particleworksのテストの一環として、レイリー・テイラー不安定性に関する比較検証などを行っています。
大学の研究では、メッシュ法ベースと粒子法ベースのCFDを用いてレイリー・テイラー不安定性モデルを解析し各CFD上で発生する数値拡散を比較・評価しました。
― 現在は英国で生活されていますが、英国での生活はいかがですか。また、どのようにインターンに参加しているのでしょうか?
英国、特にロンドンは、世界中の様々な国・地域出身の人々が集まり、国際的な交流が盛んな場所です。個人的には様々な国の料理を楽しめるところが気に入っています。大変なところは、公共交通機関が頻繁にストライキを行うことです。
私は週に3日勤務しており、そのうち2日は品質保証部、残りの1日はCGリサーチでの業務に取り組んでいます。また、英国在住のためリモートで勤務しています。
― CGリサーチ所長の西田先生からは、どのような指導を受けていますか?
まずミーティングから始め(時差があるためイギリス時間の朝しかミーティングができないためです)、前回の作業の進捗報告と今後の作業に関する指示を受けます。分からない点がある場合は、メールで質問するとすぐにミーティングを設定してくださり、理解できるまで丁寧に教えてくださいます。後は自分自身で試行錯誤しながらコードを書き進めることで、自分の技術を磨くことができます。
― 今回、インターンの一環として学会に参加されたとのことですが、どのような学会に参加しましたか? 発表内容についても教えてください。
NICOGRAPH Internationalという芸術科学会が主催する国際学会に参加しました。テーマはコンピュータグラフィックスやAR/VR、コンピュータビジョンなどの分野をテーマとし、科学と芸術の融合を促進しメディアアートの発展を促すことを目的としています。
参加理由としては、国際学会での発表の経験を積みたいという意欲があったためです。また、CGは映画など日常的にも身近な存在ですが、CGという専門分野に携わるのは初めてだったので、最新の研究動向について学ぶために参加することを決めました。
学会ではBスプライン曲線と球の衝突判定手法について発表しました。この発表では、従来の曲線を多角形で近似する手法ではなく、西田先生が1993年に開発したベジエクリッピングという手法を用いた、より効率の良い衝突判定手法を紹介しました。
もともとCFDや流体力学に強い興味を抱いていたため、流体シミュレーションに関する発表やポスターは非常に興味深かったです。私は工学系出身なので、CGなどの別の分野において流体力学に関する研究に取り組むことは、また異なる面白さがあると感じています。

― 学会最高位である「Best Paper Award」の受賞、おめでとうございます! 参加者からのフィードバックや参加者との交流はあったのでしょうか。
質疑応答の中で、答えられない部分もあったことから自身の勉強不足を痛感しました。念入りに準備に取り組んだつもりでしたが、それでもなお多くの盲点があったということに気づかされました。一方で、プレゼンテーションに対して多くのお褒めの言葉をいただき、自信を得ることができました。
また、改めて対面で行う交流は非常に貴重なものだと実感しました。特にポスターセッションやバンケットでは、他の研究者との会話を通じて、自身の研究分野に進んだきっかけや個人的な研究エピソードなど、さまざまな話題に触れることができ、非常に楽しい経験となりました。


― 今回の学会発表で得た成果・知識を、今後はどのように活かしていきますか?
質疑応答での反省を踏まえて、常に「なぜ」を意識して研究を進めていきたいです。またプレゼンテーションに関して褒めていただいた点も、更に改善していき、誰にでも解りやすく納得のいくプレゼン発表を行えるようになりたいと考えています。
― 今回の会場は北海道でしたね。北海道といえば、“おいしい食事と豊かな自然!”というイメージがありますが、滞在中に印象に残った景色や食事はありましたか?
あまり時間がなかったので、たくさんは食べられませんでしたが、札幌に到着した初日に食べたカニのお弁当は本当に美味しかったです。
また、学会会場が北海道大学の広大な敷地内に位置しておりましたので、キャンパス内を30分かけて歩いていました。大学の敷地とは思えないほど緑豊かで穏やかなキャンパスで、とても印象に残っています。
余談ですが、学会でお弁当の注文を忘れてしまい、お昼ご飯を食べられなくなるところでした。幸運にも2日とも1つ余分なお弁当が出たので食事をすることができましたが、今後はこのようなことがないように気を付けようと思います。


― お弁当、無事に食べられて良かったですね(笑) 今後の目標や計画を教えていただけますか?
博士課程への進学を目指しており、さらなる研究経験を積みたいと考えています。ですので、今回の学会参加はその第一歩になる経験でした。
― プロメテックグループでのインターンを検討している方にメッセージをお願いします。
プロメテック・ソフトウェアでのインターンは私にとって貴重な学びの機会であり、日々の業務にも楽しく取り組んでいます。私が英国在住であることにも柔軟に対応していただき、リモートでのインターンや学会参加といった新たなチャレンジにも寛容な風土を持った会社です。ぜひともインターンに参加していただき、多くの経験を積んでほしいと思います。
― ありがとうございました!